新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり、社会のさまざまなものがオンライン化されているのはご存じの方も多いと思います。リモートワークやテレビ会議など仕事のオンライン化はもちろんのこと、「ZOOM飲み会」と呼ばれるオンラインの飲み会が流行るご時世です。
それは医療の世界も例外ではなく、オンライン診療の大きな波が押し寄せています。コロナ禍による生活や意識の変容で、対面による診療に不安を感じる患者さんが多くなり、患者さん側の意向によってオンライン診療を希望するケースも多くなっています。
しかし、オンライン診療にはメリットだけでなくデメリットもあることは、多くの先生方がお感じのことと思います。そこで今回は、話題のオンライン診療について光と影、メリットとデメリットについて解説します。
■オンライン診療の定義
オンライン診療とは、いわゆるリモートワークのように医療機関と患者さんをビデオチャットシステムでつなぎ、映像と音声によるやり取りで診療をすることです。患者さんがクリニックに来院して診療を受ける従来の形をオンライン化したもので、従来は「無診察治療の禁止」を規定した医師法第20条に抵触するのではないかと指摘されていた問題もあったのですが、対面診療を補完する位置付けとして遠隔診療が認められたことが契機となり、さらにコロナ禍による非対面サービス拡充の流れから特例的に容認する流れとなっています。
■オンライン診療のメリット5つ
オンライン診療には、主に5つのメリットがあります。特に患者さんにとってメリットが大きく、それぞれを列挙すると以下のようになります。
・オンライン診療のメリット① 自宅で診察が受けられる
外出してクリニックを訪れ、待合室で待ったうえで診察を受けるという従来の流れに対して、オンライン診療は自宅にいながらにして受けることができるため、こうした時間的、体力的な負担がほとんどありません。
症状によってはクリニックまで行くことが負担になる患者さんもいますが、オンライン診療であればその負担も大きく軽減されます。
また、コロナ禍によって医療機関に足を運ぶことに抵抗を感じる患者さんも多くなっており、こうした不安を払拭することもできます。
・オンライン診療のメリット② 薬の受け取りもスムーズになる
医療機関の診察を受けたら、必要に応じて薬を受け取ることになります。オンライン診療では薬を自宅に送ってもらうか、処方箋を送ってもらって自宅近くの薬局で薬を受け取る仕組みになっているので、薬の受け取りについても大幅に負担が軽減されます。
・オンライン診療のメリット③ 決済はキャッシュレス
すでに対面による診察を行っているクリニックでも自動精算機など現金の授受をしない流れになりつつありますが、オンライン診療の場合は決済がすべてキャッシュレスになります。現金を触ることに衛生面の懸念を抱いている人は多いですが、その問題も解消できます。
・オンライン診療のメリット④ 遠方の医療機関も受診できる
診察を受けてみたい医療機関が遠方にある場合であっても、オンライン診療では距離が問題になりません。オンライン診療に対応しているクリニックであれば日本全国どこであっても診察を受けられます。クリニック側でも近隣だけでなく日本全国の患者さんをマーケットにすることができます。
・オンライン診療のメリット⑤ 画像や映像を使った診療も可能に
電話による診療もオンライン診療に含まれるのですが、それだと患者さんの状態を目視することができません。近年のビデオチャットシステムを使ったオンライン診療であれば患者さんの状態を画像や映像で見ることができるため、ある程度の診療も可能になっています。
■オンライン診療のデメリット3つ
メリット一方で、オンライン診療で考えられるデメリットを3つ挙げてみました。
・オンライン診療のデメリット① 診察できない症状、病気がある
画像や映像による診察ができるとはいえ、あくまでも画面越しです。細かい部分を診たり、覗き込む必要があるような場合など、不向きな診察もあります。
・オンライン診療のデメリット② オンライン診療特有のコスト
オンライン診療の場合はすべてのやり取りが通信になるため、通信費や事務手数料、薬や処方箋の郵送に伴う費用などが発生します。これはオンライン診療特有のコストといえますが、来院による診療で必要になる交通費などは不要なので、デメリットばかりではない側面もあります。
・オンライン診療のデメリット③ 来院を要する検査や処置が不可能
検査や処置などは、オンライン診療ではできません。そのためすべての医療行為をオンラインだけで完結するのは不可能で、来院とオンラインをうまくすみ分ける必要があります。
■美容クリニックとオンライン診療
こうしたオンライン診療の特性を美容医療に当てはめてみると、例えば遠隔地に住んでいる薄毛治療の患者さんが毎回クリニックに来なくても薬を処方できるといったように、双方に負担軽減のメリットがあります。
また、ビデオチャットシステムを使って患者さんの状態を見て、それに応じた処方をすることもできるので、美容医療とオンライン診療は親和性が高い部分が大いにあると言えます。